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猫尾製作所

あまりアテにしないでね

72の法則

ネタ 雑記

以前は本当に毎日書いていた(正確には毎日の日付に対して)私のはてなダイアリーはてなブログに移転した今、しかも今年に入ってからはほとんど書かなくなりました。
そろそろまた、気まぐれに書いていくことにしようかな、と思い立ったが吉日というわけで。

今年2013年もはや霜月・11月。年末が刻一刻と迫っています。11月〜12月にはその年の振り返り的なことがこれからどんどん行われていきますね。そのひとつに『流行語大賞』なんてのもありますけれど。
とはいえど浮世離れ系男子(?)の私は、世間様ではどんな言葉が流行っているのやら、詳しくはありません。ただ、『アベノミクス』『今でしょ!』『倍返しだ!』などは流行りましたよね。

『アベノミクス』というのは、なんじゃらほい、とか思っていますけれど、『今でしょ!』はつくづく同意をせざるを得ない名文句だと感じております。

「いつやるの?今でしょ!」
この言葉は予備校の国語の先生の林先生という方の言葉らしいのですが、職業柄ゆえにこういう言葉が出てくるのかな。何せ、予備校の先生というのは浪人生相手の商売。浪人生、もう高校は卒業したけれど、大学には進めなかった。だけど、年齢は18、19、20、とどんどん過ぎてゆく。ああ、高校の同級生はキャンパスライフをエンジョイしているけど、なんで俺は高校の勉強を今でも続けてるんだろう、なんて思いながら勉強しているのだと思います(そうでなければすみません)。鬱々と勉強してたら来年もあぶないな、そしたらまた年齢がプラスワン。いろいろ焦りや後悔はあるのでしょうかね。

そんな若者に「今でしょ!」と喝を入れたのが林先生でした。もう過去は過ぎ去った。だけど、未来は未だ来ていない。過去にもっと勉強していればよかった、と思うかもしれないが、過ぎ去ったことなんだ。そしてしょぼくれたまま、どうせオイラはと思って、勉強を放棄したら、いつまで経っても受からない。ま、明日からでいいさ、来週からでいいさ、来月から、来年から……。なんて思うのかな。でも、先送りしたって同じことの繰り返し。じゃあ今から始めればいいじゃない。今この瞬間から。今この瞬間はこれからの人生の期間で一番若いんだよ。過去は変えられないけど、未来なら変えられる。過去を引きずらず、未来に先延ばしせず。いまから、これから。なんですよね。

とまぁ、若者に対して先輩面できるほどのエラソーな者ではないのにいろいろと書いちゃった感はありますが、ちょっと横道にそれていました。

その次に考えたいのは、またこの記事の主題にもっとも関連するのは『倍返しだ!』なんですよ。
半沢直樹』というドラマの名文句らしいのですが、私はその番組を見たことがないのです。ですが、知人等を通じてどうやら銀行が舞台になっているとも聞きました。

銀行が舞台になっていると聞いた時に、私が考えたこと。それは「倍返しとはいうけれど、じゃあ銀行にお金を預けても、それを倍返ししてほしいな」でした。恥ずかしながらではありますがこれは切実ですよね。

だけど、『半沢直樹』が放送された今年2013年現在銀行の金利なんてお賽銭程度です。年利でいうなら0.02%とか0.03%とかそういうレベルなんですわ。もし仮に100万円銀行に預けてたとしてもその0.03%はというと。0.03%は1万分の3ですから、年間で300円ですか。1000万でも金利は年3000円ですか。もし銀行に対して個人でも無制限に貯金ができて金利も定率(0.03%としましょう)であったとして、金利だけで生活していくには……。年間100万じゃとても足りそうにないので、年間200万だとしても。単純計算で60億円の貯金が必要です。銀行の仕組みをよくわからない人間の文章なので、特にこのへんは粗は非常に多いと思いますが、お許しください。もし、個人が60億も持っていれば、金利生活なんてあえてせずに普通に使えよ、って感じですかね。100年生きるとしても年に6000万使えるんですから……。

以上の記事を見て「あ、こいつってただの世間知らずや」と思われたかも知れません。そんな恥さらしの乗り越えて要約本題へのアプローチでございます。

「銀行に預金を預けたお金を、銀行から倍返ししてもらうには何年かかるの?」
はい、これを簡単に計算する式についてのご紹介が今回の主題なんです。

結論から申しますと、72÷(金利をパーセントで表した値)=(倍返しになるまでの年数)がわりとよい近似式になっているということです。72を金利で割るから「72の法則」なんです。また、これは複利計算の場合の式なので、そのあたりもご注意ください。
借金の場合も同じ式でもって倍返ししなければならなくなるまでの年限というのが計算できます。

でも、ほんとに、72÷金利なの?と思いたくなると思うので具体的な数字でもって検証します。昔々のその昔、銀行の定期預金なんかの金利が年6%とかいう時代もありました。今から見れば、信じられない話ですけれど。

そんな(夢のような)時代のある年に100万円を預けたということにしましょう。翌年には100万円の6%の金利がつくわけですのでプラス6万円で106万円になります。さらに次の年には106万の6%の金利がつくので 1,060,000×0.06 = 63,600 で 63,600円 の金利が付きます。前の年より 3,600円 余計につきましたね。複利法ゆえにこうなるのです。そして預けた年の2年後には 1,000,000 + 60,000 + 63,600 = 1,123,600 で 112万3600円 が口座に入っています(その期間中には出し入れしないものとして)。3年後以降はどうなるのだろう。わかりやすいように最初の年からのぶんも含め表にしますね。

何年後? 年初における預金残高 その年の末までに付く利子
0年後 1,000,000 +60,000
1年後 1,060,000 +63,600
2年後 1,123,600 +67,416
3年後 1,191,016 +71,460
4年後 1,262,476 +75,748
5年後 1,338,224 +80,293
6年後 1,418,517 +85,111
7年後 1,503,628 +90,217
8年後 1,593,845 +95,630
9年後 1,689,475 +101,368
10年後 1,790,843 +107,450
11年後 1,898,293 +113,897
12年後 2,012,190 +120,731
13年後 2,132,921 +127,975
14年後 2,260,896 +135,653
15年後 2,396,549 +143,792
16年後 2,540,341 +152,420
17年後 2,692,761 +161,565
18年後 2,854,326 +171,259
19年後 3,025,585 +181,535
20年後 3,207,120 +192,427
21年後 3,399,547 +203,972
22年後 3,603,519 +216,211
23年後 3,819,730 +229,183
24年後 4,048,913 +242,934
25年後 4,291,847 +257,510

※金利の円単位未満は切り捨てとしました。

12年後に約201万、そのさらに12年後(預けた年の24年後)には約405万。12年で「倍返しだ!」なわけです。先ほど金利を6%と仮定したのですが、確かに 72÷6 = 12 なので、金利が複利で6%なら、12年後に倍になるという目安は成り立ちます。

でも、疑問点はありますよね。6%ならたしかに「72の法則」も成り立つけれど、金利が違ったらそうでもないんじゃないのか?と。

さて、普通の電卓では複利の計算はちょっと難儀なので、べき乗が計算できる関数電卓を使って検証してみます。関数電卓が手元になくても Google に付いている電卓機能が利用できます。

例えば、金利を少し上げて 8 % としてみましょう。72÷8 = 9 なので9年で倍返しとなるべきところですが、実際に 1.08 の 9 乗 を計算すると、1.9990046271 という近似値が得られます。確かに非常に2に近い数値となりました。なお、Google電卓を用いる際には「1.08^9」などとテキストボックスに入れて検索してみてください。

蛇足ながら、例えば6%の金利が付くということは 預金額の 0.06倍 の利子が年度末までにプラスされるということです。ですので、年度初めの預金額の(もともとあった1+金利の0.06で)1.06倍の数値が翌年度初めの預金額となります。ですので 1.06 の なんとか乗 という計算である年の預金額が計算できるのです。

更に具体例を上げるならば……。

金利 倍返しまでに期待される年数 その年数が経過した時点に何倍になっているか
12% (72/12 =) 6年 1.12^6 ≒ 1.97382
8% (72/8 =) 9年 1.08^9 ≒ 1.99900
6% (72/6 =) 12年 1.06^12 ≒ 2.01219
4% (72/4 =) 18年 1.04^18 ≒ 2.02581
3% (72/3 =) 24年 1.03^24 ≒ 2.03279
2% (72/2 =) 36年 1.02^36 ≒ 2.03988
1% (72/1 =) 72年 1.01^72 ≒ 2.04709

と、具体的な計算での証明というかたちになります。

しかし、数学という学問で検証するとなれば、具体例をいくつあげようと、例外がどこかにあるかもしれない。例え何万、何億の具体例があったとしてもただひとつ例外があれば、全てにおいてはなりたたない、そういった厳しい世界(?)です。そもそも 2 ちょうどにならないし、2 に近いとはいうもののそれは近似値に過ぎないので、今回は数学の話題とはかなりずれた議論をしてまいりました。ですので今、それを思い数学のタグを外しました……。

とりあえずは、72÷年率≒年数、それをひっくり返して 72÷年数≒年率。
この式でもって「倍返しだ!」まで何年かかるのか、あるいはある年数の後にに「倍返しだ!」されるには年率が何パーセント必要か、近似的とはいえども目安として計算できることがいいたかったのでした。金利がその期間中にほとんど変わらない場合にのみ成り立つという重要な性質も補足しておきます。

それにしても、近年では 0.1%、いや今はもうそれどころではなくて 0.05%, 0.03% という金利の時代です。それらに『72の法則』をすなおに適用すれば、0.1%で720年、0.05%で1440年、0.03%で2400年……。もちろん我々がこの地上で生きることがゆるされている年数をはるかに超えるとんでもない年数が出てくるのです。

少なくとも銀行からお金というかたちでの「倍返しだ!」はもうこの先ありえないでしょう……。