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猫尾製作所

あまりアテにしないでね

より普遍的な単位系を考える(其之壱)

雑記 物理学

我々がこんにちの日本で用いている単位は「メートル法」ですね。これは基本的には地球のサイズ(あるいはスペック)と10進法がベースとなっているのです。ただし、10進法を用いずに12進、60進も一部の場面で使われます。

例えば、「時速50キロメートル」という量(もっと正確にいうならば数値と単位の積ということになります)は「このペースを保って走れば1時間で50キロメートル進みますよ」という意味を持っているのです。では、この「時間」とか「キロメートル」とはどういう定義なの?と疑ってみます。

まず、時間について。1時間という時間の長さは何をもとに定められたのかといいますと、太陽から見た地球の自転周期、すなわち丸一日という時間の長さの分割からです。

この分割法は古代より受け継がれてきたのです。丸一日を午前と午後、あるいは昼と夜に別けて、それぞれを12等分して「時間」という単位を作ったことに由来します。

さて、12という数字が出てきましたが、なぜ10ではなく12かというと。それは、この数12の持つ約数の多さ、あるいは一年間の月数12ヶ月(一年間で月が満ち欠けする回数にもっとも近い整数)であることより採用されたと考えられましょう。しかし、この方法は不定時法です。季節によって昼夜の長さの比は変化するので、季節がいつか、また昼夜のどちらか、で時計の針の進む速度は違ってきます。

のちの時代になってはじめて定時法、すなわち時計の針が一日、一年を通して等速で進む「現代の時計」のご先祖様となったのです。そのときに古くよりの昼夜をそれぞれ12等分するという考え方に基づき、昼と夜をあわせて丸一日を(12の倍の)24等分したと考えられます。

1時間とは1/24日ということです。逆にいえば、1日は24時間ですね。そして、1時間を60等分で分、1分を60等分で秒、という単位が定められます。

つまりは、我々の普段用いる時間の単位は地球の自転速度および12進法と60進法が大きく関わっています。

では「キロメートル」とは。「キロ」と「メートル」の積なのですが。ちょっと横道にそれますね。

我々が「キロ」というときには少なくとも3つの場面が想定されます。それらを例示いたしますと「私の体重は60キロである」「ここから東京駅までは60キロある」「この自動車は60キロで走っている」という3つの場面です。これらの「60キロ」という表現は同じに見えても、文脈により明らかに意味、というか単位が異なりますね。

これは単位の後半の省略形であるからです。「60キログラム」「60キロメートル」「時速60キロメートル」が正確な表現です。そして「キロ」とは続く単位の1000倍を表す接頭辞です。単位の省略はあまり望ましくはないけれど、特に口語では長ったらしくいうよりも、好まれて使われることは否めません。

今しがた「キロ」とは「1000倍を表す接頭辞」であるといいました。ですので「時速50キロメートル」は「時速50000メートル」と等価ということになります。時間の単位の定義は先述のとおりですが、では次。「メートル」って何?

「メートル」の元々の意味合いは「測る」ということです。古来よりさまざまな長さの単位が提案されてきました。ヤードポンド法は英米等では未だ現役です。しかし、人類の文明がある程度進んだ頃になると「普遍的なものさし」への欲が高まります。しかし、普遍的なものは何だろう。視野に入る中でいちばん扱いやすいそれは、やはり我々の住むこの地球じゃないだろうか、ということで地球の身体測定をして、それをもとに「メートル」という単位を定義しようとしたのです。

かねてより現役だった「ヤード」(=約91センチメートル)を大体の目安にして「地球の極から赤道までの距離の1000万分の1」を「1メートル」と定義したのが現代のメートル法の始まりなのです。もちろんこの測量にはたいへんな労力がつぎ込まれたようですし、そのために殉死された方も多くおられたようです。

何がともあれ、なんとか長さの単位「メートル」が定義されました。そして、1メートル立方の容器に入る水の質量を1000キログラムとして、質量の単位「キログラム」も定義されたのです。水とはこの地球上でもっともありふれた物質であります。

まとめますと。

  • メートルとは地球の極から赤道までの距離の1000万分の1
  • キログラムとは1メートル立方の体積を持つ水の質量の1000分の1
  • とは地球の太陽に対する自転周期の長さの24分の1のさらに60分の1のさらに60分の1

このような定義で我々の常用している MKS単位系 の考え方につながるのです。

現在では秒は特定の原子が刻む時間の周期から、メートルは光が1秒間に進む距離から、キログラムはキログラム原器でもって定義されています。こう定義され直されたのはより精密さを期すためであり、元々の考え方は先ほどの通りです。

また、先ほど出てきた「キロ」などの接頭辞は他にも「デシ」「センチ」「ミリ」「マイクロ」あるいは「デカ」「ヘクト」「メガ」「ギガ」などがありますが、これらは全て10の整数乗の意味を持っています。

要はメートル法とは地球の身体測定をすることで普遍性を保とうと、考え出されたものであるということです。そして、10の整数乗の意味が付加される接頭辞によって、その地球でいちばんエラい(!?)人間が扱いやすくしているということもあります。人間の両手の指の数は計10本ですので、10進法は古くから使われていたのですから。

ちょっと長くなりましたので、また次回に別けて書きます。